オリオンの空は燃えている

昭和が生んだ怪物はむらケンジのほのぼの日常系ブログ

金言

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約13万人が勤める僕の会社は、転属や転勤がとにかく多い。

特に、支社長や担当部長、課長といった部門などの"長"は特に多い。組織腐敗や癒着、怠慢などを防ぐためである。所謂血の入れ替えというやつであろうか。

僕は3月まで、約1000人の部下を持つ、支社長の専属ドライバーを勤めていた。通常、2年くらいの任期であるが、私がお仕えした支社長は2年4ヶ月と、平均より長く勤められた。特に人気があったから…というわけではない。

通常、支社長下番と同時に、専属ドライバーである私もお役御免となり、通常2年で任期を終えるのであれば、私も12月で下番できるはずであったが、かくかくしかじかの理由から、3月まで転属が延期になった。

通常、支社長と副社長が、同時に交代するということは、組織の維持という観点から、なかなかあり得ないのだが、今回実に何十年ぶりに、支社長と副社長が、同時に交代することになった。

私は、前専属ドライバーに引き継ぐという形で上番したので、実質1年8ヶ月くらいしか勤務しなかったが、本当に疲れた。専属ドライバーと言えば、聞こえはいいが、実質の所属は総務部で、運転だけしてればいいわけではなかった。毎日帰りも遅かった。

が、それなりにがんばったつもりだ。

支社長・副支社長が離任される前夜、副支社長と二人だけでお話する機会があった。そこで、僕は副支社長から金言をいただくこととなったのだ。

はっきり言って、支社長も副支社長も、社員から圧倒的に人気がなく、端的に言えば支社長は優柔不断、副支社長はパワハラ…支持率は圧倒的に低かった。

しかしながら、副支社長の言うことはいつも的を得ていた。部下三人を円形脱毛症に追い込んだとしても…とにかく副社長の意見は的を得ていた。私も一時期、副支社長の標的にされ、かなり追い込まれていた時期もあったが、それももう一年も前になる。

そんな副支社長が、最終日となるその前夜に、私にこんなことを言ってくれた。

「惜しい。羽村は本当に惜しい。あとちょっとなんだよなぁ…。」
「頭の回転速いのはわかるけど、何ていうかこう、何かの拍子に突然ギアが上がって…ガチャガチャっとギアが噛み合わないっていうか…人が置いてきぼりになるんだよね。」
「俺と二人だけで話すときみたいに普段からしたら?」

嬉しかった。素直に嬉しかった。

何が嬉しかったかって、普段から僕のそのことで悩んでいたからだった。

僕の見解では"それ"は、"縄跳び"だった。一重跳び、二重跳び、三重跳びとあるが、一跳びする間に、1.0回転、2.0回転、3.0回転するから縄にかからず跳べるのであって、これが1.2回転2.3回転だったとしたら、一跳びと一致せず、たちまち縄に引っかかってしまう。

一重跳びできてる人から見れば、そりゃ二重跳びできたらすごいけど、1.8回転や2.4回転で引っかかってる僕を見て、馬鹿にするだろう。しかし、あとちょっとなのだ。ただ、ただタイミングだけ、タイミングだけの話なのだ。

その話はとりあえず置いておいて、とにかく僕のことを見てくれていたことがすごく嬉しかった。その後も、ありがたいアドバイスをいただき、副支社長は去っていった。

そのアドバイスの内容は、敢えて言わない。敢えてね。

すごく強烈な人だったけど、僕がもらったこの金言はいつまでも忘れないだろう。しかし、この副支社長はその内新聞に載るかもしれない。誰かに訴えられて…。それくらい強烈な人だった。

そして、僕は普通の人に戻った!