オリオンの空は燃えている

昭和が生んだ怪物はむらケンジのほのぼの日常系ブログ

イケメンがレジの順番を裁定

最近、ミスタードーナツが好きでよく足を運ぶ。

ミスタードーナツによく行く理由については、現在の研修期間中、住んでいる部屋が5人部屋であり、プライベート空間が全くなく、土日もゆっくりできないため、読書や勉強するために、ミスドを利用させてもらっているのだ。

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しかもミスドブレンドコーヒー・ホットカフェオレがおかわり自由というのだから、コスパだって最高だ。そんなんだったらネカフェに行けば?という疑問を持つ方もいるかもしれないが、ネカフェは現在この情勢で行ってはいけない場所として研修先から指定されているので、大人しくそれに従っている。

そんな週末によく訪れるミスタードーナツである日こんなことがあった。

と、本題に入る前に、こういったファーストフード店によく起こる問題について私見を述べる。それが”席取り”問題である。混んでいる時に、商品を購入する前に先に席に荷物やハンカチを置いたりして、席を確保する、自分の保身に走る行為である。

自分だけ良ければいいのか。

私はこれをみっともない行為として捉えていて、購入した商品の代金に席のチャージ料も含まれており、まだ座る権利も、何も発生していない消費者が我が身が大事と思うがあまり、正当な権利者の権利を踏みにじる行為だと定義している。

ちなみに複数人数いる場合は、仕方ないと思っている。理由については、2人以上いる場合、機動力がなく、お一人様に比べて席の確保も難しいためだ。

そして、ある日こんなことがあった。

訪れたミスタードーナツはその日、結構混んでおり、既に3人ほど並んでいた。私は当たり前のように4人目として並んだ。丸で並びを表現すると入り口方向に向かって「○○○●入口」と言った形で、黒丸が私だ。私の前の3人がはけ、いよいよ私がレジに出陣という段階で事件は起きた。

先程話したとおり、いわゆる「席取り」行為をしていた女性と男性が、列に混じってきたのだ。この列に混じる位置が悪かった。店内の奥の方から来たその女性と男性はこともあろうか、私の左に並んだのだ。本来は「●□△入口」と入口まで戻って並べばいいものを、「⇨⇨△□●入口」と突っ込んできた。私は心の中で、「これは僕が先に並んでいた認識でいいよね?いいよね?」と思いつつ、その瞬間が訪れた。

「お待ちのお客様どうぞー」

一瞬間を置いて、後から来た女性と男性が先に行く意志がないことを確認すると、私は堂々とレジに進んだ。だって俺の方が先に並んでたんだもん。当たり前やん。しかし、ここで女の愚かな店員が恐ろしいことを言った。

「お客様、お待ちください。先に並んでいるお客様がいらっしゃるので!(怒)」

この女の店員が「先に並んだ者よりも、入店した者に権利がある」とかそういう深いところまで、考えていたのかそれは定かではない。ただ私からは、この高校生くらいの店員は、ただ単に見せかけの列の順番で判断したように見えた。

私は「え?先に並んでましたかぁ?」と店員と女性に皮肉を言うと、女性は「私は別に後でも…」いやいや、そこは「あなたが先です、どうぞ」だろうが!そもそも、貴方が中途半端な行動に出るからこういうことになる。

しかし、プレイヤーはルールを決めない。

審判である店員が、「あなたは後」そう主張するのであれば、それに素直に従わなければならない…。もの凄く言い返したかった、思いっきりゴネたかったが、無益な争いを避け、素直に列を譲った。

「・・・」

福本伸行漫画ばりの無言を貫いていると、また順番が回ってきた。しかし、その女性の他にも席取りのため、後からやってきた男性もいる。この愚かな店員の理屈によれば、列に並んでいたのは私が早かったが、どうやら先に入店した客の方が、列に割り込む権利があるらしい。

私は、また無言で30代後半のイケメン男性に列を譲った。

いわば完全敗北宣言である。しかし、私に非があるとは到底思えない。ただ、ここは引くしか無かった。その瞬間、更に驚くべきことが起きる。その男性が口を開く。

「先にどうぞ!(サワヤカ)」

なんて、なんて爽やかなんだ。

私は真顔で、不服そうな態度を出さないように努めていたが、内心を見抜かれていたのか。いや、そんなはずはない、これはただの社交辞令だろうと、男性に対して「いえ、私は後から来たので」と謙虚にお断りを入れると、男性が無理矢理私の腕を引っ張る。

「いいから、いいから(イケメンスマイル)」

これが、社交辞令だとか、そんなレベルの力の強さではなかった。私の腕を引っ張るこの力、この男性は、本心から私に先に行けと言っているのだ。

(イケメン男性さん…!)

全ての状況、私の気持ちまでも理解し、対応してくれた男性。他人に対してこれほど「大人だ」と思ったことは久しぶりだ。不貞腐れた顔から、ニッコニコの笑顔で私はドーナツを選んだ。世の中には良い大人がいて、私もさらに頑張らなければならないことがわかって嬉しかったのだ。もしかしたら、この男性がいなかったら、私はそのまま店を出て行って、二度とこの店に来なかったかもしれない。

席について、早くこの話を誰かにしたいと思いながら、ふとドーナツを食べようとすると、紙ナプキンも紙おしぼりも両方なかった。あの店員の入れ忘れだった。

殺意で、また笑顔が消えた…。ーーそけんよ、大人になれ!